何を僕はそんなに興奮していたのか・・・。
それは、そこで飼われているヤギが、丁度子供を産み落とそうとしていたのだ。
動物の出産など、滅多に立ち会えるものではない。
僕にとっては非常に貴重な体験なのだが、そこの住人達はそれを横目にしても全く興味がない様子であった。
おそらく。彼らにとってはそれが日常茶飯事なのであろう。
産まれたてのヤギは、一生懸命自身の力で立ち上がろうとしている。これはスクープとも言える、産まれて1分後の仔ヤギだ。
ここにいるのは、普段は野良ヤギなのかもしれないが、かといって完全な野生動物ではない。人間にも慣れきっている。
しかし、彼らにとってはそこな安全な環境なのであろう。
親のヤギも、周りの天敵を恐れているような様子はなかった。僕が近づいても全く平気なのだ。
出発前に非常に貴重な体験が出来た。まさか、こんなところでね・・・。
さぁ、気を取り直して出発だ。村人達に見送られ、僕と梅津は一緒に砂漠へと向かった。
それにしても、松浦には悪いのだがラクダというのは非常に乗り心地が悪い。とにかく、尻が痛い。
コイツは「ひとコブラクダ」である。間にすっぽり跨がれる「ふたコブラクダ」の方が、おそらく楽なのではないかな?そんな事も知らず、松浦はひたすら重たい僕と荷物を載せて歩き続けた。
聞いた話では、この冬の時期であれば1週間飲まず食わずで走行可能だそうな。1000キロ歩くんだって!
BMW1200GS−Adventureが、33リットルタンクで連続航続距離が700キロぐらいだったような・・・。
こいつ、アドベよりもすごいんじゃん!まぁ、めちゃくちゃ遅いけどね!
2時間くらい歩いただろうか、草木やサボテンが段々と少なくなって来た。
そこで、梅津は松浦を座らせ僕を降ろした。
「今夜はココで寝よう!」
夕方くらいのまだ少し明るい時間。
僕も普段のキャンプなら、このくらいの時間にまず先にテントを張るかな!
しかし、今回はテントは無い。渡された毛布2枚だけ。僕は寝袋を持っていたので良かったが、夜はハンパなく寒かった。昼間は灼熱だったのに・・・。
梅津は夕食の準備を、そして僕は夕日の写真を撮っていた。
実に幻想的な風景であった。
考えてみれば、島国の日本に居る我々は水平線を見る事をあっても、地平線を見る事はない。
しかし、ここでは周りに視界を遮るものは何もない。
ついでに、三脚を立てて自分も入ってみた。今まで見た事無いキレイな落陽でした。
ビルも無く、山も無く、海も無い。しばらく、ぼぉ〜っと立ちすくんでしまった。
靴では歩きにくいので、僕は裸足で丘を駆け上ったりしていた。陰の部分や夜になると、足の裏がひんやりして気持ちいい。そして、砂の粒子もとても細かい。鳥取砂丘のそれとは明らかに違っていた。
日が沈む前に、我々は夕食を取る。
20も歳が離れたインド人、そりゃぁ会話が弾む訳がありません。酒もないし!
彼の作ってくれた、パスタを揚げたスナックやベジタリアンのカレーにチャパティ。
どれも美味かった。贅沢を言えば、ワインかビールが欲しかったが・・・。
19時頃には、辺りは完全に暗くなってしまった。
そして、20時頃になると梅津はもう寝ると言う!
僕は寝袋を持ってるが、彼は毛布1枚だけでしかも服はTシャツだけ。
「寒く無いのか?」
「大丈夫だよ!慣れてるから。」
全く以て、よくデキた少年だ!ラクダも自在に操り、料理もちゃんと出来る。
それに英語も問題なく喋られる。
こんな17歳は、日本にはそうそういないだろうな!少なくとも、僕の17歳の時よりは100倍立派だ。
梅津はあんな寒い格好ですぐに眠りについていたが、僕はなかなか眠れなかった。
あぁ〜、焼酎のお湯割りが欲しい・・・。
こんな場ではどうする事も出来ないので、仕方なく寝袋に入りその上を毛布でクルリ。
顔だけ出して、夜空を見上げる。
残念ながら、写真ではコレを撮影出来なかったのだが、こんなキレイな星空を見たのは初めてだ。
この世には、こんなにたくさんの恒星があったのか!改めて驚かされた。
良く、「星の数ほど」なんてフレーズがあるが、まさにそんな感じだ。
つまり、多過ぎる!360度見渡す限りすべてなのだから。
夜空に感動をしていると、知らぬ間に寝ていた。
気が付くと、辺りは明るくなり始めている。
梅津はすでに朝食の準備をしていた。僕はと言えば・・・、あっ、日の出の写真撮らなくっちゃ!
少々タイミングが遅かった様です。しかし、松浦はまだまだ眠そうです。
朝食を食べた後、大をしにトイレに行きます。
お分かりでしょうが、もちろんトイレなんて何処にもありませんし、何処でもトイレになってしまいます。
今までは、トイレでもインド式に抵抗が合ったのですが、さすがにココでは僕の不浄の左手を使いました。
後は少々乾かして、砂に埋めれば終了です。
僕の方は準備完了。
しかしラクダ二頭が、まだまだ散歩とお食事中です。
あぁ〜、その辺僕のトイレなんだけどなぁ・・・、なんて心配もしながら。
朝はゆっくりと過ごし、さぁココを後にしてまたクーリーに戻ります。
おはよ〜ございま〜す!^^
返信削除出だしは出産で感動、中盤はロマンチックな星 . . .
良い進行だったのに〆が . . .(ーー;
ガタローさん
返信削除やはり、インド式トイレは必須事項かと・・・。(笑)
ここに来るまでは、常にトイレットペーパーを持ち歩くヘタレ野郎でした。
紙を使わず、砂漠の美化に協力したつもりなのですが。
残念な事に、辺りはペットボトルやビール瓶が転がってます。
何とかならないんでしょうかねぇ〜。
らくだがカワイイ!!
返信削除ロメさん
返信削除えっ、松浦ですか?(笑)